社長コラム:人生の不思議な坂道

社長コラム:人生の不思議な坂道

こんにちは。
皆様はいかがお過ごしでしょうか? 今月もコラムをお届けします。

今回お話したいのは、ありがたさや幸せは、どこか遠くにある目標ではなく、日常の些細な瞬間の中に隠れているということ。けれど何に幸せを感じ、何に感謝を覚えるのかは一人ひとり違うと思いませんか。同じ事実であっても、その出来事をどのように解釈するか?という点については、その人の生い立ちやこれまでの生き方、現在の立場に深く関係していると思います。

例えばの話をしましょう。
もしも私の奥さんが今朝、交通事故に遭って他界してしまったら?
そのときの私が直面する悲しみ、喪失感や孤独感は想像を絶すると感じます。

では、事故により自らの意思で動くことや、周囲との意思疎通ができない寝たきりの状態になってしまったらどうか。私なら、たとえ奥さんと会話を交わすことができなくとも、呼吸をし、心臓が動き、温かさが残っている現実にありがたさを覚えます。そして命を助けてくれた方々の献身に、言葉では尽くせぬ感謝の気持ちが込み上げるでしょう。
さらに奥さんがその状態から脱し、家族と視線を合わせて笑い合え、自分の意志で言葉を紡ぐことができればなお嬉しいと考えるはずです。

つまり人は、自らにとっての「最悪の事態」を段階的に想定し、それらと比較することで、目の前の出来事の価値を変えることができる。失われたものを数えるのではなく、「今ここに在る」という現実の尊さに気がつくことができると思うのです。周りと自分を比べて優劣をつけ、上や下と比較を続けてもキリがありません。

比較の連続から抜け出すためには、自らが人生の坂道のどこに立っているのか。現在地を知ることがとても大切だと思います。その坂は上りなのか、下りなのか。
坂の角度や長さによっても、道のりは変わるでしょう。短距離走のように駆け抜ける人もいれば、ゆっくりと歩む人もいるはずです。ですが自らの立ち位置を把握せず、ただ上り坂を進んでいては苦しいだけ。頂上に立てたとしても、すぐに次の坂を見つけるだけでは辛いでしょう。謙虚な心をなくし、周りの人を見下していても足元はいつか崩れてしまいます。それにゴールだと思い込んでいるその場所は、たまたま視界が良いだけで、実はまだ上り坂の途中にいるかもしれませんよ。
自らの居場所を再確認し、捉え方の転換をすべきは、人生における大きな節目だけではありません。朝起きると食事が用意され、仕事から帰ると風呂が待つ生活がどんなに幸せなことか。他人や過去の自分との競いを止め、坂道の上り・下りばかりを気にするのではなく、ときには横に目をやってみてください。すると、その先に広がっているのは真っ直ぐな道ではありませんか? 人によって坂道の高低差は違っても、不思議なことに横から見た道のりは共通して平坦です。日常の当たり前は、誰かの支えや愛情から成り立っており、健康や住む場所、食事、家族、友人がその場にいることは永遠ではありません。けれどもしもあなたが、そのような毎日を当たり前だと受け止めているのなら、人生の捉え方を一度、垂直方向から水平方向へ変えてみると良いかもしれないですね。

70歳を迎えた今の私は、人生の上り坂や下り坂に左右されずに目線を前に。自分なりの歩幅で真っ直ぐに道を歩んでいきたいと考えます。どんな坂道でも、横から見たら横しかない。どこにいても同じ。あとは自分の中に少しでも「努力をしていこう」という気持ちがあればそれでいいと思っています。

人に何を与え、何を得たかも気にしません。自らの行いに対する見返りを求める人も多くいますが、相手に期待するとその行為は真の功徳にならず、苦しみの原因になると考えます。私の感じる幸せは、家族が風邪をひいたがインフルエンザではなかった。転んでしまったが顔を打たなくて良かったなど些細なことばかり。「この程度でよかった」と、安心や前向きな感情を得たことが私にとっての功徳です。

「何かをしてあげたから返してもらう」ではなく、自分が出来ることをするのは当たり前。できる範囲のことをしていけば良いし、返ってくることはどんな形でもありがたい。どんなにお金があったとしても、それを使って何を感じ、どう生活を豊かにするかは自らの捉え方ひとつ。人生における功徳をどう受け取るかは心の持ちようであり、どれほどお金や地位があっても、「他人が幸せかどうか」は表面からは決してわからないものです。

私の場合は1日に100回、200回と功徳を感じる日がありますし、今は朝を迎えるたびに新たな始まりを実感します。このような毎日を送ることできるようになり、私は人生がとても豊かになりました。だからこそ、私の大切な人にはそのように生きてもらいたい。
特に従業員の皆には、そう願って止みません。自らが立つ坂道の場所を知り、人生の中に多くある楽しさ・ありがたさを知ってほしいと思います。そのために私も、皆が「この会社で働いてよかった」と心から思える場所をつくり続けていきたいと思います。

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